雨池は今日も雨だった - 北八ッ池巡りトレッキング

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白駒池は水辺で見るよりも、高見石や「にゅう」から見おろした姿のほうが好きだが、雨池は池畔に立ってみないと、そのよさがわからない。白駒池は水辺にまでまわりの樹林が迫っているから、離れて見るといかにも森に抱かれた幽玄な湖の感じがするが、周囲の明るい雨池は稜線から見おろすとあまりに開放的で、山の湖の神秘な感じがほとんどない。そのかわり、岸辺に立って眺めた風景は雨池のほうがはるかにすぐれている。池畔の構図に変化があるだけでなく、静かで明るい池の雰囲気がじつにいいのだ。北八ッの湖としては、澄んだ湖面に森の憂愁をたたえた白駒池がふさわしいが、いまの私には、行くたびにきれいな童話の夢をそだててくれる雨池の晴朗さが、このうえなく好ましい。

山口耀久著 「北八ッ彷徨」収録「北八ッ彷徨」 より
           

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